近隣に住む親せきの住み替え(移住)にともない、この親せきの家を購入しようかと検討されている自己解決タイプ様からの御相談です。
当職
こんばんは、はじめまして行政書士の阿部と申します。
今回は時間のご無理を申し上げスミマセンでした。
※当職が設計事務所他を兼業し昼間の在社率が低いため相談時間を夜間にてお願いしました。
相談者さま
私の方もメールでなく、直に電話で話を聞いて欲しかったので気にしないで下さい。
当職
ありがとうございます。それでは早速ですが御相談内容について、お聞かせ下さい。
相談者さま
近くに住む親せき[S家と表現]が移住するため、自分の家を譲ってくれるという事になり価格や子供の学校区も 私達の条件にピッタリなので進める事にしました。
ただ、その後の打合せ時に進入路が私道であると知らされました。じつは私、学生時代に、この方面の法律を若干かじっているものですから心配になって私なりに調べてみました。
当職
どの様に調べたのですか?
相談者さま
法務局に行って進入路部分の所有者を調べました。不慣れなので職員さんに協力してもらい、なんとか調べ終わりました。
当職
頑張りましたね~!
それでは全部事項証明書中の地目と所有者が誰になっているかを教えてください。
相談者さま
地目は公衆用道路で所有者は4人の方の共有名義になっています。
当職
その4人の中にS家の人の名義はありますか?」
相談者さま
ありません。4人中3人は近隣の3軒で他の1人が隣町在住者[T氏と表現]です。
当職
S家の人の名義は無いのですね。わかりました。この進入路を通行しないと自宅に入れない、お宅は何軒ありますか?
相談者さま
4軒です。3軒が共有の近隣者で残り1件がS家です。
当職
進入路の道路幅わかりますか?」「それとアスファルト道路でしょうか?
相談者さま
幅は大体ですが5メートル以上はあると思います。アスファルトです。
当職
4人の持分で抵当権が設定されている方は、いらっしゃいますか?
相談者さま
2人の方の持分に抵当権設定と書かれてます。
当職
わかりました。それでは明日、役所に行ってこれから説明する調査をして下さい。
担当部署は市町村により名称が異なりますので総合受付で「道路位置指定の調査」と告げ担当部署を確認し訪問して下さい。
次に担当者に公図と位置図を見せながら進入路の地番を伝え道路位置指定を受けているか?否か?・・を聞いて下さい。
位置指定道路であった場合は指定番号または検査年月日を聞いて下さい。
次にライフラインついてですが排水は公共下水ですか?浄化槽ですか?また、ガスは都市ガスですか?プロパンですか?
相談者さま
公共下水でオール電化住宅なのでガスは使ってないそうです。
当職
わかりました。これも市町村により名称が異なるのですが、上水道と下水道の関係部署を訪問し、進入路部分に埋設されている給水管と排水管の所有者名義と使用者名義を聞いて来てください。
できればメモして来てください。それでは御連絡お待ちしております。
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(翌 々 日)
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相談者さま
阿部さん。先日はありがとうございました。位置指定道路だそうです。
H○-○号 平成○年○月○日 第○号との事でした。
それから給水管と排水管の名義ですが使用者名義が進入路を共有している近隣3軒とS家の計4軒となっており所有者名義はT氏との事です。
当職
調査お疲れ様でした。手間どりましたか?
相談者さま
いいえ。阿部さんが教えてくれた通りに回りましたのでスムースでしたよ。
それに、本来なら調査業務依頼になるところを相談報酬だけで教えてもらえるのだから大助かりですよ!今日も宜しくお願いします。
当職
いやぁ~一番うれしいお言葉ですよ!がんばりますからね!
さて、本題に入りますね。 推測するにS家の人は土地を購入してから自分で建築業者に注文をして家を建てたのだと思いますが全て現金で決済したと言っておられませんでした?」
相談者さま
少しだけ職場から借りて、それ以外は現金だと言ってました。
当職
もしかしてS家の人は勤めは公的な場所でしょ?」
相談者さま
え~!よくわかりましたね。
当職
現在は事情がマチマチですが、当時は公的仕事の人が職場関係から受ける住宅融資は抵当権を設定しない時代がありましたからね。
第三者から見ると抵当が付いてないから現金購入の様に思えますよね。それから、T氏についてですが、この方がS家を含む周辺土地の元の土地所有者だった人じゃないですか?
相談者さま
その通りです。全部事項証明書に書いてありましたし、S家にも聞きました。
当職
やっぱりでしたね!それでは結論からお伝えしますね。
1.本物件を購入リフォームして中古住宅としてお住まいになる事に関しては後述の通行権を除き問題はありません。この価格ならお買い得かもですよ!
2.次に本物件を財産として考えた場合、建て替えをする時に法的制限があるか?否か?がポイントになりますが、これに関しましては進入路が道路位置指定を受けているので建築基準法に定められた道路に接する要件は満たしていますので問題ありません。ちなみにこの道路は建築基準法第42条1項第5号の道路と呼びます。忘れちゃってイイですよ!
3.解決課題は次の2点です。 まずは進入路の通行権に関してですが、 現段階ではS家には進入路の所有権が無いわけですから、貴方が購入した場合、この道路を通行できるか?否か?から考えてみます。
判例の詳細は省略しますが位置指定道路の場合「この道路を通行する事が日常生活上不可欠であると判断された場合」は私道であっても通行は可能という判例があります。
但し、自動車の通行の場合は、この限りではなく「所有者が自動車通行を自粛している場合などには通行不可」との判例もありますし、「5メートルの位置指定道路については自動車通行への妨害を排除請求できる」との判例もあります。
ですから、所有者の承諾を事前にもらっておくか所有権を共有しておくのが一番賢明な方法だと思います。
ところで、実際にはS家はじめ皆さんは車輌乗り入れはどうなんですか?
乗り入れてるんでしょう?問題なく和気あいあいな感じですか?
相談者さま
もちろんです。車なしでは生活できませんから近隣関係は良好みたいですよ。
当職
であれば、生活をするのには、このままでも支障は無い感じはしますができればS家の人にT氏に交渉してもらい、この共有持分を譲ってもらうのが最良ですね!
冗談の様な本当の話なのですが過去の同様事例で現金購入のためローンも無く仲介業者も入らずの個人取引で本体のみ移転登記をして私道共有持分の移転を忘れていたケースもありましたからね!
相談者さま
早速、S家にお願いしてみます。
当職
ちょっと待ってください!ライフラインの使用に関して申し上げます。
これから、お伝えする事は関係諸官庁の判断により変化が考えられ全国一律では、ありませんので最終確認は御自身でお願いします。
配管所有者と使用者そして進入路所有者が、今回状況の場合は中古住宅として住まうなら進入路部分の配管に手を入れない限りは配管所有者と進入路所有者承諾は特段いらないと思いますので日常生活に不便はないでしょう。 この場合、進入路部分配管の維持管理費は使用者4軒負担となるのが一般的です。
次に建て替えをする場合ですが宅地内工事のみでなく進入路部分の工事が必要な場合、配管所有者および進入路所有者の承諾が必要となるのが一般的です。
ですから前述のT氏の共有持分を譲ってもらえれば進入路所有者と配管使用者と実際の居住者とが一致しますからスムースになると思います。
但し、この場合でも役所の上下水道台帳の配管所有者名義はT氏のまま変化しない事もありますので「役所の取扱いは全国一律ではない」 という前提で必ず事前に自己確認して下さい。
まずは今回、ご説明させて頂いた解決策を実施していただき解決すればベリーベストです。
交渉の結果、状況が厳しい場合は下水道法の説明と公正証書を用いた方法をお伝えしたいと思います。
こんな進め方で如何でしょうか?
相談者さま
了解です。早速、行動を開始してみます。不明点は、また電話します。
当職
県内なら同行サポートも可能なのですが?残念ですね!
頑張って下さい。ありがとうございました。」